その音が消える前に、君へ。
後悔しないための選択
榊くんと色々あったあの日以来、榊くんは学校に来ていない。
今日も榊くんの席は空席で、主人の帰りを待つ机達は暇を持て余している。
榊くんが学校を休んで1週間が過ぎようとしていた。
彼の連絡先も誰も知らず、何かしらの手段で連絡を取るということが出来ずにいる。
おかしいとは思っていた。
あの時のあの行動に、あの言葉に。
違和感と疑問の気持ちが渦を巻いては、かき乱していく。
そして聞こえない彼の音に、ますます落ち着きを取り戻すことができない。
「榊くん……どうしたんだろうね」
昼休みに教室から出て、陽菜乃がぽつりと口にした。
その言葉に返せる言葉はなくて、一つ頷くことしか私には出来なかった。
確かめなきゃ行けない、そうは思っていても動けない自分に怒りが湧き上がってきていた。