White girl
「雫!こっちおいでよ!!」
そう呼んだのはマイだった。
私は行く気も無いので顔だけそっちに向けると、
ちょうどこっちを見た例の目とばっちり合った。
「あ………」
男は私のことが分かると、立ち上がってこっちに向かってくる。
そして、その様子をクラスメイトはじっと傍観していた。
なんでこっちに来るの……。
私の隣の地味な男の子に低い声で、
「おい、替われ」と声をかけると
「は、はいっ!」
と、顔をビクつかせながら
男の子はすぐに荷物をまとめて、一個隣の席まで移動してしまった。
かわいそうに…。
その空いた私の隣の席に、男が長い脚を跨いで
どかっと乱暴に座る。
私もクラスメイトも目を丸くして男の行動を見ていた。
「お前、朝のやつだよな」
「…そうですけど。」
体をこっちに向けてじっと見つめてくる。
真っ直ぐ…どこか冷えているような目で。