White girl
「雫ちゃん、気を悪くしたのなら謝るよ。
けど、こいつ悪い奴ではないんだ。……わかってくれるかな?」
涼がそばにしゃがんで、優しい声でそう問いかけると、その女は静かに頷いた。
俺が悪者扱いだったのが癪だが、まぁそれは無理もない。
「知ってるかわからないけど、僕達は“柳凰”っていう暴走族なんだ。」
そいつはやっぱりまだ知らないのか、
「ぼうそうぞく…」と反復している。
「そう。そこの総長と、副総長」
涼が順に指をさして紹介すると、
そいつは呆然と、ふーん…と口にした後
妙に納得をしたかのような顔をした。
「…君だけ周りと同じように騒がないから気になっちゃってね。」
「…うん、だって関係ないし……」
それを聞いた俺は思わず吹き出した。
それに女も涼も驚いて間抜けな顔をしている。
「ハハッ…こいつ、面白ぇな。」
「………はぁ?」
そいつの顔がさっきより一層怪訝な表情になった。