White girl
席についた蓮さんのお茶を準備していると、
雫。となにやら深刻な様子で呼び止められた。
見ると軽く手招きされたから、出来たお茶をもってテーブルに出してストンと席に着いた。
「……ここの生活は大丈夫か?」
敷地もお金もあるこの家で問題があるとしたら、私と父の関係しかない。
それをあえて口に出さずに聞いてくれる辺り、すごく優しさを感じる…。
「うん。慣れたから大丈夫だよ。」
そう軽く告げると蓮さんは少し俯き、唇を噛み締めた。
そんなに親身になってくれなくていいのに。
…蓮さんの言いたいことは分かる。
けど、どうしようも無い。
昔、大怪我していたところをあの男に救われたというのは前に聞いた。
どういう経緯でそうなったのかは知らないけど、その恩返しで私の世話をすることになって…
それでここまで来たのはいいけど、その命の恩人が自分がお世話している子に毎晩乱暴してるんだから…
客観的に見ても皮肉な状況に、ほんとに蓮さんが気の毒になる。
「ごめん…ごめんな。俺が止められれば…」
何も悪くないのに謝る蓮さんに、胸がキリキリと苦しくなる。
「…謝らないで。私は大丈夫。」