White girl
思ったより人混みを早く抜けれたお陰で、
まだ男の姿は見えない。
よし、このまま旧校舎まで…
「待てよ!!!」
「ひっ…」
声の主はもうすぐそこまで迫っていた。
…なにそれ反則なんですけど。
なんでそんな足速いわけ?
「いやぁぁぁぁぁ!」
叫んでたら誰か助けてくれるかも…
そんな期待を胸に私はさらにスピードを上げ、突き当たりを左に曲がった。
久しぶりの恐怖からか、走り慣れてないからか、息も上がるのが早い。
「はぁっ…はぁっ、はぁっ…!」
全速力にも関わらず、すぐそこまでヤツが来ていた。
もうダメ…追いつかれるっ…!
覚悟した瞬間腕をぐんっと引かれて、
その反動で身体が反転し、気づいた時には冷たいコンクリートの壁を背に、両の腕が頭の上で抑えられていた。