White girl
バタンとドアが閉まり、車は静かなエンジン音を立てながら走り出した。
そして私は当たり前かのように、仁の膝の上に横向きで乗っている。
…いやいやいやいや。
「…降りていい?」
教室と同じように目を閉じている仁に
車から、と膝から、の意味を込めて聞いてみる。
と、華麗にスルー。
私の声聞こえてんのかな?
コイツ……。と思いながらも体を起こして、仁と涼の間の席にもぞもぞ移動を始めた。
さすがに車からは無理そうなので、せめてこの横暴男の膝からは降りたい。
けど、お腹に腕を回されグイッと引っ張られる。
そしてまたすっぽりと仁の膝の上へ戻ってきた。
イラッ
「あんたねぇっ「仁」」
私が罵声を浴びせてやろうとすると、しれっとまた遮られた。
「仁、だ」
しかも念を押されて。
いつの間にかこっちを見ていた例の目に怯んでしまい、怒る気力が無くなっていた。
あーもう、どうしよう…。
『もし関わったら…分かるね?』
あの男の顔、言葉が浮かぶ。
それと同時に目的地に着いたのか、車が停車した。
仁にまた抱かれたまま、もうどうにでもなれ…と半ばヤケクソな思いで私は反抗するのを止めた。