White girl





ちらっと顔を覗かせると、仁はただこちらを見下ろしていた



何を躊躇ってるんだ私…。
もしここで気味悪がられたら万々歳じゃない。



けどまた体がカタカタと震え始めた


仁は、軽いため息をすると

「大丈夫だから、出てこい。」


今までに無いくらい優しい声でそう言った



キイィ…

扉が音を立てて、ゆっくりと全開になる


「…………」


私の全身を見ると、仁は少しだけ目を大きく開いた


しばらくそのまま私を見つめる
その、いつもの目で。


何も言わない仁にさすがに不安になり、そのまま少し後ずさりする



するとそのまま、私は温かい体温に包まれた。



またふわり、とシトラスの香り



優しく、私の体を壊さないように抱き締める


蓮さんの時とは違う…この温もり



都合の良い私の体は、
今までの嫌悪感なんてすっぽかしてこの場所に安心を求めていた…。





< 83 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop