White girl
「おいで?」と手を引かれると、食卓にはもう
仁と、お父様らしき人がいた。
空いている仁の隣の席に座る
左にお父様…右に仁……ご飯食べられるかな?
雰囲気が似ていて、空気を圧迫するような威圧感
予想通り若く見えるけど、仁よりも目が切れ長で、黒いサラサラの髪を耳にかけている
そして紺色の瞳
似てる…。
完全に仁は二人の子供なんだなぁ
「雫ちゃん、かな?」
「は、はい。」
仁とそっくりの重い声……体が一気に緊張する
「俺は龍雅(リョウガ)だ。よろしく」
「よろしくお願いします…。」
「美麗から聞いてはいると思うが、この家では
安心してゆっくり休みなさい。君を拒む人はここにはいない。」
「はい…ありがとうございます。」
微笑んだ顔はすごくやわらかくて…意外とって言ったら失礼だけど、表情が豊かだった。
見ず知らずの人が暮らすのを許してくれる…
美麗さんと龍雅さんの優しさにまた心が痛んだ
「よし!じゃあ頂きましょう!」
美麗さんの声にみんな「いただきます」と答えて、4人で食卓を囲んだ。
決して会話が多いわけでは無いけれど、
もし普通の家族がいたら…こんな風に一緒にご飯を食べるんだろうな。
生まれて初めて触れる家族の温かさに、
少し目頭が熱くなった。