【完】溺れるほどに愛してあげる
溺愛*1章

不良



「優愛。世の中には法律やルールっていうものがあるんだ。それを破るようなことはしちゃいけないよ?みんなが幸せになるためにあるものだからね」





お父さんは毎日のようにそうあたしに言った。


小さい頃は意味がわからなかったけれど、言う通りに生きてきた。


だからあたしにとって法律や規則、ルールや約束事は絶対で、破るなんて考えられないものだった。


小学生の時は先生の言うことを聞かない同級生に子供ながらに説教した。



『お前うぜぇんだよ。ばーーーか!』



と逆にキレられ次の日から周りの目は冷ややかなものに変わり、そこで自分が人と違うことに気付いた。


お父さんの教えは強要してはいけないのだと、自分が信じてきたものは絶対ではないんだと気付いた瞬間だった。


だから中学からは大人しくしていようと決めた。


周りがどうであれあたしは干渉しない、と。


その結果、クラスは崩壊した。

授業を聞かない者はおろか教室に姿を現さない者も多数いた。



やはりお父さんの教えは正しかった。


ルールは守らなければならない。


きっと、だからこそ楽しい学生生活を送ることができるんだ。

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