【完】溺れるほどに愛してあげる


「優愛?」

「え、ごめん!」

「大丈夫?」





屋上で食べるお昼ご飯。


青い空も、真っ赤な太陽でさえも色がないように見える。


ただ眩しすぎる太陽の光だけがあたしを責め立てているみたいに刺さる。


痛い。日差しが痛い。


痛い。胸が痛い。



千景に黙っていることも、このままの関係を続けようとしていることも。


自分がしたくてそうしているのに、罪悪感に苛まれて仕方がない。


ご飯もいつもみたいに美味しくない。


味を…感じられない。





「優愛さん?」





珍しく陸くんが口を開く。


実を言うと、亮くんや他の子と話すことはあっても陸くんとはあまり話したことがない。


でもとっこのことがあるから…これからはちゃんとコミュニケーションとっていきたいな。





「だっ大丈夫!
寝不足みたいで…」





…これに関しては嘘なんてついてない。


だってあんなこと聞いて眠れるわけがない。


泣きじゃくった目を冷やして、温めて…極力腫れないように努めた。



だから誰にもバレていないはず。





「あんまり無理するなよ?」





今はその優しさが辛い。


ねぇ…千景?


もし、このことを知ったら…そんな風に心配してくれることも笑いかけてくれることもなくなるのかな。



バレてしまうことを予期するわけじゃないけど、嫌な予感がして今この瞬間を噛み締めるように目をつぶった。





「ありがとう」





精一杯の笑顔とともに。

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