【完】溺れるほどに愛してあげる
目を覚ましても千景からのメッセージはなかった。
それだけでも辛いのに、既読マークはついていた。
あたしのメッセージを読んでいる。読んでるのに返してくれない。
その事実はあたしを1つの結論に導いた。
…避けられているのかもしれない。
心臓を直接掴まれているみたいな痛み、肺を塞がれているような息苦しさ。
「…はっ、…ぅうっ…はぁっ……」
上手く息ができない。
呼吸ってどうやってするんだっけ。
酸素が回っていなくてボーッとしている頭をフル回転させて、ビニール袋の存在を思い出す。
こういうときはビニール袋で口を塞いでゆっくり…ゆっくり息を吸って、吐いて…
「は…あっ…はぁ…っ」
徐々に落ち着いてきた体を起こす。
額には汗が滲んでいた。
どうしよう…バレちゃった…?
何で…?!
きっと今のあたしは顔面蒼白。
もうどうしようもできない。
知られてしまった。
そしてあたしが隠していたという事実も露呈してしまう。
確実に幻滅される。
こんなことになるなら言ってしまえば良かった…
後悔はいつも後になって、今更遅いっていうときにズシッとのしかかってくるんだ。
「とっこ…」
月曜日、本当は来たくなかった。
どんな顔をして千景に会ったらいいかわからなかったから。
でも、このままじゃ絶対にダメで。
あたしもちゃんと自分の気持ちを伝えないとダメだって、だから来た。
空席である隣を見てホッとするのはどうしてだろうか。
「優愛…?顔色ひどいよ、大丈夫!?」
「あたし…もうダメかもしれない…」
「何があったの…?」
心配して聞いてくれるとっこに、あたしも洗いざらい話した。
するとみるみるうちに、とっこの表情も曇っていく。
…え、どうしてとっこがそんな顔するの?