【完】溺れるほどに愛してあげる


「今日もまだ…」





申し訳なさそうに呟く亮くん。


あれから1週間経っても千景が教室に現れることは愚か、学校にも来ていないようだった。





「LINEYも返ってこなくて…
何かヤバいことになってるとか…ないですよね!?」

「そ、それは…大丈夫だと思う」





だってあたしのせいだから。


みんなにも心配かけさせるようなことさせて…本当に申し訳ない。





「陸さんも来ないんすよ!全然!」





ぷんすかと怒る亮くんになんだかホッとしてしまう。


こんなの不謹慎…だけど。


変わってしまったものもあれば、こうして変わらないものもあるんだって実感させてくれる。



それがありがたいんだ、とても。





そんなほっこりした気持ちを奪い去ったのは、帰宅途中にかかってきた電話だった。





「お父さん?」





普段、お父さんから電話がかかってくることなんてない。


おつかいの途中にお母さんからかかってくることはあるけれど。





「もしもし?どうし…」

「優愛!カサイは知ってるか!」





カサイ…かさい…笠井?


笠井だったら陸くんの苗字だけど…





「笠井?」

「笠井 陸だ!」

「うん、知ってるけど…」

「今どこかわかるか!?」





陸くんの居場所なんてわからない…けど、みんなに聞いたらわかるかもしれない。


そうLINEYを開いたはいいものの、お父さんからの圧で焦ってしまって上手く指が動かない。





「ま、待って待って…」





とりあえず手当り次第全員に聞きまくる。


『陸くんがどこにいるか知らない?』


すぐに返ってくる返事には


『知らないです』

『わからないです、すいません』


あたしの期待する言葉はなかった。


それでも…


『さっき俺見ましたよ』


そんな返事があったんだ。

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