【完】溺れるほどに愛してあげる


超速で陸くんをどこで見たのかを聞き出す。


彼が言うには、変な倉庫街に向かったとのこと。


…何でそんな所に?





「お父さん!
それで陸くんがどうかしたの?」

「帰ったら話すから…」

「あたしも行く」

「優愛!」





わかってる。


こうやって止めてくれるのには何か理由があるんだってこと。


でも、知りたいもん。





「父さんがそっちに行くまで、絶対に動かないこと。いいな?」

「わかった」





大人しくお父さんが来るのを待つ。


さっき聞いた倉庫街に今すぐにでも行きたかったけど、お父さんの言いつけを守った。





「行くぞ。
移動しながら話すからついておいで」

「うん!」





お父さんが話す内容はあたしが思っていたものより何万倍も酷いもので、途中息をするのを忘れてしまうくらいに衝撃的だった。


今までの平穏な日々が夢なのではないかと思うくらい、今ではありえない。


だって、ずっといたんだから。


隣に、いたんだから。


何にもないような顔をして笑っていたんだから。



今までのそれが全て嘘なのだと、本心は別にあったんだと…



目的があったのなら、なんて忠実なんだ。


なんて馬鹿で、なんておぞましい。





「……千景…?!」





ふと、悪い予感が頭をよぎる。


もしかして千景を……?





「お父さん急ごう!」





最悪な事態になる前に。


あたしが隣で笑っていられるように。



今度こそ、助けるよ。必ず──

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