【完】溺れるほどに愛してあげる
「…本当に来たのかよ!」
坊主がまたも叫ぶ。
だけどもう慣れてしまったあたしには関係ない。
左耳から右耳へと通り過ぎていく。
「昨日のホームルームの結果をご報告に」
「別にいらないのに」
「そういうわけにはいかない。絶対参加してもらうんだから」
すると金田はあたしの持ってた競技と参加者のリストを奪い取る。
「俺やることないし」
それはあんたがホームルームに来ないから…!
いないも同然にしてる先生とクラスの人達も悪いけど…
「そのへんは何とかする」
「何とか…ね」
「みんな喜ぶよ、参加してくれたら」
少しだけ雰囲気が良くなかったかな、なんて思ったのもつかの間。
あたしのその一言で空気は一気に変わった。
「そんなわけねぇよ。
別に誰も望んじゃいない」
しまった、と思った。
良くなったと思われた雰囲気に飲まれて、ありもしないことを言ってしまった。
あたしは望んでるんだけど。
でも、"みんな"は望んでない。その通りだ。
「あの…だけど…!」
「うざい。どうしてそんな俺に構うの」
どうしてか。
そんなの決まってる。
「あたしが、貴方を変えたいって思ったから」