【完】溺れるほどに愛してあげる


最初は少し嫌がってたみたいだけど、やっぱり4人でいるのは楽しいみたいで。


隣を見ればいつでも笑顔が輝いていた。



ジンベイザメを見ていると、ゆるりと手を繋がれてあたしからも握り返す。


自然と距離も縮まって肩と肩が触れ合う。



イルカのショーを見ていると、水が飛んできて少しだけ顔と髪が濡れる。


自分を拭くついでに千景の髪も拭いてあげて…


大人しくあたしにされるがままになっている千景。


ペットみたいだなぁって愛しく思う。


千景はあたしに、溺れるくらい愛してあげるって言ってくれたけど…もう既に溺れそうになるくらいの愛を貰っているし、あたしだってそれくらい大好きで。


千景がいない日々なんて考えられない。


…だって辛かったから。


話せないこと、顔すら見れないことが辛かったから。



あたしの中で着実に千景の占める範囲が大きくなっている。


大好きな人のことで自分がいっぱいになるのって凄く幸せなことだと思う。


大切な人がいるって幸せ。


千景のことを大事に思う自分を好きでいたいって、そう思う。





「どうしたの?」

「ん〜幸せだなって」





ふふ、と笑うと千景はあたしの頭を自分の胸の方に引き寄せた。


目の前にはクラゲの水槽がライトアップされている。


あたしも千景に身を委ねた。

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