【完】溺れるほどに愛してあげる
体育祭当日。
あたしの出る競技は障害物競走と高飛び。
だからほとんど応援に徹することになる。
そして2種目目に高飛びが始まり、各クラスの出場者が集まってどんどんとバーを飛び越えていく。
陸上部でもないし、高飛びなんて授業でやっただけだけど面白くて好きになった。
でも結果は残念ながら上位に組み込むことはできなかった。
障害物競走も4種目目と、早くやってくる。
スタート位置に5人並んで、笛の合図で走り始める。
網をくぐり、フラフープを通って平均台を歩き飴を探し…
結果は2位…
のはずだったのに、前を走っていた子が転んであたしもそれにつまづきそうになった。
慌てて手をつくと、ジャリっとした砂の感覚と少しを痛みを覚えた。
でもそんなことも気にせずすぐに立ち上がってゴールを目指す。
なんと、1位になれた。
ピンと張られたゴールテープを切ることが出来た。
「優愛ー!!おめでとう!凄かった!」
「ありがとう!!」
近くまで応援に来てくれていたとっことハグを交わす。
嬉しい。いつになっても1番は嬉しいものだ。
「手!擦りむいてるよ、大丈夫?」
慌てたとっこに言われて思い出す。
絶対あの時擦りむいたんだ…
思い出したら痛くなってきた…
「手当てしてもらってくるね」
「うん、気を付けてね!」
体育祭になると、校内に入ることはお昼休み以外許されない。
だからグラウンドにテントを張っていて、そこにいつもの保健室の先生が待機してる。
「あら〜痛そう…
手当てする前にあっちの手洗い場で洗ってこようか」
「はい」
少し離れた手洗い場まで歩いていく。
背後からはみんなの盛り上がる声が聞こえていた。