【完】溺れるほどに愛してあげる
1日が終わってもあたしの隣が埋まることはなかった。
とっこの情報が間違ってた?
帰り支度をしていると、わっと窓の近くにクラス中の人が群がる。
「あいつだよあいつ!」
「うっわ。怖ぇー」
あたしもつられて窓の外を覗くと、舎弟と思われる人を多数連れて半端ないオーラを放つ人が目につく。
その軍団を仕切っているだろうそいつは、金色の長髪にピアス、そして制服を着崩しカバンも規定のものじゃない。
いわゆる不良である。
それも多分、この学校1の。
「やっぱ来てたんだね…サボりか」
「もしかしてあれが…」
「そう。優愛の隣、金田 千景(かなた ちかげ)だよ」
あたしの予想はビンゴだったわけか。
全くもって嬉しくないけど。
「あいつクラス来んのかな」
「来ねぇんじゃね」
「つか同じ教室にいるとかマジ息つまるわ」
みんなそう思うよね。
実際あたしもそうだし。
これから1年間、一体あたし達はどうなるのだろうか…ただその不安だけがあたしを取り巻いた。