【完】溺れるほどに愛してあげる
「金田くんにご熱心だね?」
「え!?」
そんな風に話しかけるのは情報屋──親友のとっこ。
本当に一体どこからそんな情報を取ってくるのやら…
「そんなこと…」
「ない?」
「なくは…ない、けど」
きっと、こんな聞き方だけど気付いてる。
あたしが金田のことを好きになってるって…とっこは多分気付いてる。
本当に適わないよ。
「優愛がまさか不良に入れ込んじゃうなんてな〜」
自分でもそう思う。
不良なんて怖いし、近付きたくもないって思ってた。
だけど…だからこそ金田に惹かれたんだ。
「私は応援するよ!優愛が選んだ人だからね」
「ありがとう!とっこ〜」
親友に恵まれて、本当に幸せ者。
「だからこんなこと言いたくないんだけど…」
「ん?」
ただでさえ可愛い顔が影を帯びて、さらに色っぽく見える。
「金田くんの元カノ…動き出したって」
「…え?」
…元カノ?
そりゃあ…イケメンだし。
彼女がいてもおかしくはない。
動き出したってなに…?
今、彼女がいたんだってことを知って不安がよぎっているのに…
その彼女が動き出したなんて、もっともっと不安で頭がいっぱいになっちゃうよ…