【完】溺れるほどに愛してあげる
あんたみたいなやつ、そうそういない。
思った。思ったけど…
「はあっ!!」
ここまでだなんて聞いてない。
誰も予期していなかった事態。
俺とタイマンを張ろうとしていた藤堂が投げ飛ばされた。
えらく綺麗に宙を舞って。
当の本人はしてやったと御満悦だが、俺の頭ははてなマークでいっぱいだ。
本当に何者なんだ、こいつ…
「つ、強い女の子って格好いいかなーって…あはは」
あからさまに動揺して、その笑い声も少し震えてる。
絶対何かを隠してる、そう直感的に思った。
それでも亮や他のやつもすっかりこいつを認め、敬い、崇めているようで優愛さん!優愛さん!と楽しそうに連呼している。
「名前、何ていうの」
「城崎!城崎 優愛。
貴方と同じクラスで隣の席です」
俺の問いかけにとても嬉しそうに答える城崎 優愛。
「あ、教室には行かないから期待しないで」
そんな一言ですぐに落ち込んでしまったけど。