【完】溺れるほどに愛してあげる
でも目に映る金田と高嶺さんは本当にお似合いのカップルで、あたしの入る隙なんてないように感じる。
「まぁ、俺はないと思ってるんすけどね」
「可能性は…あるよ」
「優愛さん?」
くるりと方向を変えて裏門から出ることにした。
金田と高嶺さんをこれ以上見ないように、現実から逃げるようにして。
*
「元カノ…か」
"元カノ"と検索すると
"元カノを忘れられない"
"元カノと復縁したい"
"元カノへの未練"
っていろんなサイトが出てくる。
あたしは元カレなんていないからわからないけど、1度は好きになった相手。
別れてしまっても気持ちはまだ残ってるかもしれない。
離れてから気付く想い、とかドラマでよく聞くし…
自分のベッドに寝転がりながら、枕に顔を埋めながら、ぐるぐるした頭をスッキリさせようと無心になってみる。
それでも浮かんでくるのは金田の顔。
そしてその隣で笑う高嶺さんの顔。
さっきの光景が忘れられない。
目を閉じても、脳裏に焼き付けられたあの2人の姿が消えない。
…消えないんだよ。
嫌なのに。嫌なのに、どこか仕方がないって諦めてる自分がいてもっと嫌になる。
それくらい、金田のことが好きなんだ…