【完】溺れるほどに愛してあげる
高嶺さんに会ってから金田の元へは行けなくなった。
"迷惑"その言葉が強く胸に刺さる。
どんな顔をして会えばいいかわからなくて屋上にも行っていない。
もうきっとあたしのことなんて忘れてる。
どうでもいいあたしのことなんて…
…高嶺さんと会ってからそんなことばかり考えてしまう。
ネガティブな思考ばかりが働く。
「…ん?」
やばい。あの金髪は…
「…裏門から帰ろう」
会いたくない。貴方には会いたくないの。
「なぁ、待て!」
後ろから叫ぶ声が聞こえる。
追いかけてこないでよ…
会っちゃったら、顔を見ちゃったら忘れられなくなる。
だから離れたのに…
「待てって」
腕をガシッと掴まれる。
振りほどこうとしても全く振りほどけない。
離してよ…
胸が痛いんだってば。