【完】溺れるほどに愛してあげる


「なんで逃げんの」

「なんでって…」

「最近、屋上にも来ないし」

「それは…」





迷惑だったのかもしれないって思ったら…怖くて行けなかったから。


…高嶺さんと金田があまりにもお似合いで、それに酷くショックを受けてしまったから。





「亮達が騒いでうるさかったんだけど」

「亮くん達が?!」

「優愛さんが来ない優愛さんがいないーーって」





そうなんだ…


亮くん達、そんなにもあたしのことを慕ってくれてたんだ。



こんな状況なのに嬉しくて嬉しくて仕方ない。





「本当に迷惑」





だけどやっぱり金田は迷惑に感じてたのかな。


そう思うとさっきまで嬉しかったのに悲しくなってくる。





「…迷惑…」





今のあたしにとって"迷惑"は禁句。


聞くだけで泣きそうになる。





「はっ?!な、なんでそんな泣きそうな顔してんの」





あたしが慌てて後ろを向くと金田は焦った声を出す。





「だ、だって迷惑って…」

「え、だから何でそんなに情緒不安定なの」

「何か…体育祭とか毎日毎日押しかけちゃって…迷惑だったのかなって」





自分で言ってて悲しくなるってどんだけだよってツッコミたくなる。


でも、こんな風に金田と話せるのが最後なのかもしれないって思うと…


本人から迷惑だって言われたら離れるしかないから。

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