【完】溺れるほどに愛してあげる
「そんなこと気にするなんてらしくないね」
鋭い視線を感じる。
「…誰かに会いでもした?」
気付いてるのだろうか。
ギラリと光るその目はどこかの名探偵のよう。
「…」
「はぁ。変に誤解されたくないんだけど」
黙るあたしに金田はひとつため息をついてから姿勢を低くして目線を合わせる。
前までは気にしなかったのに、そんな動作ひとつで彼との身長差を感じる。
向かい合わせに立てば、あたしの頭の先は金田の顎らへん。
きっとあたしより20cmくらいは高い…はず。
「高嶺…美麗さん」
そんな彼の整った顔が目の前にあって、緊張で口から漏れ出てしまった。
「あいつ…」
「元カノ、でしょ?すごく仲良かったって聞いた」
高嶺さんの名前を聞くと、金田は眉間に皺を寄せて面倒くさそうに舌打ちをした。
見慣れた、そして話慣れた人だとしてもそんな凶悪な顔で舌打ちされたら怖いんですけど!
「あんなの別に彼女に入らないよ」
…どういうこと?
高嶺さんの話と全然違う。
もっと…仲良かったんじゃないの?