【完】溺れるほどに愛してあげる


「中学の時、告白されて付き合ったのは本当。
でも別に俺は好きでもなんでもなかったし」





好きでもない人と付き合うの!?


頭をがしがしとかきながら、あたしに話してくれる。


あたしの知らない、金田の中学の時のこと…





「つーか迷惑なのはあいつの方。
ずっとつきまとわれて、あそこで承諾しなかったらもっと酷くなると思ったから付き合っただけ。
すぐに俺への興味が他に移って1ヶ月と保たなかったけど」





本当に高嶺さんの話と違う…


あたしを遠ざけたくて嘘ついた…ってこと?





「あいつに何を吹き込まれたのか知らないけど、俺はあんたのこと迷惑だとか思ってないから」

「…本当に?」





金田から、本人からそう言ってもらえてあたしは宙に浮くくらい嬉しくなる。


不安になることなんて、なかったんだ…





「まぁ、うざいとは思ったことあるけどね」

「う、うざい…」





はははって笑う金田が以前にも増して輝いて見える。


あぁ…好きだなぁ。


このまま好きでいていいんだ。嬉しい。





「でもそのおかげで…」

「ん?」

「いや、何でもない」





あたしの目を見つめながら意味深に呟く。


絶対何かあるじゃん!隠されたら気になるよ。





「言ってよ〜!」

「言わない」

「気になる!」





こんなやり取り…前にもしたな。


懐かしくなって、やっぱり嬉しくなる。


胸がポカポカする。じーんと暖かくなる。





「元気、出たみたいだね」

「あっ…」





金田のことで、あたしは天国にも地獄にも行く。


地獄に落ちてしまったら…貴方以外あたしを助けられる人はいない。



本当にあたしの中で金田の存在が日を追うごとに大きくなって…



いつか、あたしも。あたしも金田の中で大きな存在になりたいって、そう思うよ。

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