【完】溺れるほどに愛してあげる
「あんたはそれくらいじゃないと」
「…ありがとう」
「…礼を言われるようなことはしてないよ。
ただあんたが変だとこっちも狂うだけ」
鼻を触りながらあたしから視線を逸らす。
…照れ隠し?
なんて。
あたしが金田のことを助けたいって思ったのに…いつの間にかあたしが金田に助けられてる。
ありがとう。やっぱり好きだよ…
これからも好きでいさせて。
「ケリつけたいから、あんたもついてきてくれる?」
「…ケリ?」
*
頭が理解しきれないまま、白百合学園の前まで連れてこられた。
ケリって、こういうこと?!
出来ればあんまり…というか金田と一緒にいるところなんて絶対に見られたくないんだけど…
「高嶺」
「っ!?千景〜♡」
あたしの時とは対照的に笑顔キラキラ猫なで声になる高嶺さん。
「…何でこいつもいるのよ」
ぼそっと呟くその言葉には多量の毒が含まれている。
金田が気付いているのか気付いていないのか…あたしにはわからないけど。
「話がある」
「この人も一緒に?」
「そう」
完璧にあたしを目の敵にしている高嶺さん。
金田の隣はあっさりと奪われてしまって、あたしは2人の後ろをとぼとぼとついて行く。
「俺、優愛と付き合ってるから」
気付くと金田はあたしの手を取っていて、高嶺さんは顎が外れそうなくらい口を開けてあたしを見ていた。
…付き合ってる?
付き合ってるって言った?!
「「は!?」」
高嶺さんとハモってしまう。
そりゃそうだ。
高嶺さんも、あたしもそんなことは知らない。
付き合ってるなんて、聞いてない!
「そういうことだから」
どういうこと?!
全く頭がついて行かない。
なのに、金田はあたしの手を持ってずんずん歩いて行く。