【完】溺れるほどに愛してあげる
それは高校2年目が始まって1ヶ月ほど経った頃。
あいつが復帰して(教室には全く来なかったけど)1週間が経とうとしていた頃。
「もう〜早く食べて購買行くよ!」
「あ、待って優愛!!」
購買でデザートを買おうとして教室を出た。
購買は校舎の外にある。
なくなったら困ると焦っていたから、いつもより周りへの注意力が散漫だったのは認める。
もうそろそろ日射しが強くなってきそうだな…なんて感じながら太陽の光が急に目に入ってきて、その眩しさに瞑ってしまった。
目は瞑っていても、購買までの道は何となくわかる。
今まで何度となく行ったから、その経験値が役に立っている。
突き当たりを右に曲がってすぐ。
…のはずだったのに
「うわあっ」
誰かの体にぶつかる。
鼻がつぶれるような感覚。
なんの危機感も持ってなかったから、割と勢いよくぶつかってしまった。
その相手は…
「か、金田 千景…」