【完】溺れるほどに愛してあげる
溺愛*3章
存在
「週末泊まりに来ませんか!」
亮くんがそう言い出したのは7月初旬、もうすっかり夏の暑さを思い出し始めた頃。
屋上を通る風も熱風になって、それでもお昼休みを過ごす場所は変わらない。
「泊まりって家の人は?」
あたしも変わらずこの時間はここに来るようになっていた。
まるでみんなと仲間になれた…みたいな。そんな雰囲気が味わえる。
「みんな家族旅行でいないんすよ」
嬉しそうに話すけど…亮くんは行かなくてよかったの?
それに、"みんな"って7人もいるのに…
「亮の家は結構デカいからみんな泊まれるんだよ」
「へぇ〜…いいな、楽しそう」
なんか…あたしよりも青春してる気がするのは何故だろう。
あたしだってお泊まり会とかしたことないのに…
金田は亮くんの家に行ったことある…みたいな言い方だし。
いいな、楽しそうだな。
「何言ってるんすか!優愛さんも来てくださいよ!!」
「え、あたしもいいの?」
仲間水入らずのお泊まり会に…あたしも参加していいの!?
「もう仲間みたいなもんだからな」
「い、行きたい!嬉しい…」
優しく笑いかけてくれる金田に、胸がきゅんきゅんと高鳴る。
ずるいなぁ…何気ない一言でこんなに嬉しくさせるんだもん。
それに、仲間って。仲間って言ってもらえた…!
「笑いすぎ」
「えぇっ?」
「そんなに嬉しいの?」
そりゃ嬉しいよ。
だってあたしの好きな人に、仲間って認められたんだもん。
1回はうざいって思われたけど…でも今は違う。
他のどんな女の子より近い場所にいられる。
それがとっても嬉しいんだよ。
貴方にはわからないと思うけど!