【完】溺れるほどに愛してあげる


「くらえぇー!」





あたしの叫びとともに投げつける亀のこうら。


前を走る金田へ一直線に飛んでいく。





「見え見え」

「…は、嘘でしょ!?あああああ…」





金田はあたしの投げた亀のこうらをひらりと避けて、お返しとばかりにあたしに投げつける。



…1回は避けたのに尚もついてきたんだよ、あの亀のこうら。


何かあたしが持ってたやつより進化されたようなやつ持ってたんだよ、そんなのずるい…!





「全戦全勝」





あたしが下手なのか、この人が上手いのか、それともチームワークで嵌められたのか…


結果は何故か全戦ビリ。





「あんなの…ずるい…」

「実力の差だね」

「で、出直してきます…」

「よろしい」





誇らしげに席を立つと





「風呂、先にもらうな」





そう言って部屋を出ていってしまった。



…一番風呂は家主なのでは?



そんなことは言えなくて心の中に留めておいた。

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