【完】溺れるほどに愛してあげる



「えっと…あの…」





そんな声が聞こえて目を開ける。


亮くん…?


とても焦ったような表情。





「おはよう…どうしたの?」

「その…」

「んっ…」





あたしの下を指さす亮くんと、あたしの下から聞こえる吐息。



………ん?





「ああああああああの!
ちがっ違うから!!」





亮くんが焦ってたのはこれだ。


金田があたしの膝の上で眠っている。



ゴロンと寝返りを打って仰向けになると、下を見下ろすあたしと目が合いそうになる。

いや、金田が目を開けたら確実に合う。





「…なに」





あたしの声に起きたのかパチッと目が開いて…そしてあたしと目が合った。



一瞬、顔中がはてなで埋まって動きが止まる。





「…?!」





状況がわかったのか急に勢いよく体を起こし、あたしのおでことぶつかる。





「いいいったぁぁぁ…痛いぃぃ…」





そう叫ぶあたしとは裏腹に、金田は少し自分のおでこを押さえただけ。





「え、なん…俺あんたに抱きつ…
は、でも俺は膝に乗せてなんて…」





あたしに抱きついた記憶はあるらしく顔が赤くなったり青くなったり…ひと目で混乱しているのがわかる。

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