【完】溺れるほどに愛してあげる
「優愛〜?
私、聞いてないんだけど!」
無事、金田達とのお泊まり会が終わって部屋のベッドでゆっくりしていた時とっこから電話があった。
「何のこと?」
「優愛と金田くんが付き合ってるってことよ!」
本当に噂が立っちゃったんだ…
でもとっこはかなりの情報屋。
だから知ってるだけで実はそんなには広まってなかったり…?
「それには深いわけがあるんです…」
あたしはとっこにきちんと説明をした。
付き合ってる、そう金田が言った理由について。
そして今までのこと。
「それって…」
「ん?」
あたしの話を聞いたとっこはそう含みを持たせて何かを言いかける。
その先を問うても濁すだけできちんと教えてくれない。
「うんうん、そっかぁ〜」
あたしは何にもわからないのに、とっこは何やらニヤニヤしてるのが電話口でわかる。
「それなら何か進展したらまた教えてね?」
時間の問題かもね…
とっこはそう言うけれど、あたしは素直に頷けない。
だって、金田だよ?
あの金田があたしを…なんて想像するだけで申し訳ない。
今この距離感でいられるのがもう既に嬉しいからこのままでいいの。
少しだけ近付けた、このままでいいの。