【完】溺れるほどに愛してあげる


「意外に乙女なのかなーって」

「…そんなんじゃないけど」





ちょっと照れくさそうに見えるのはあたしの目がおかしいのか。





「いっぱいメッセージ送るね」

「すぐ返せるかはわからないけど、それでもいいなら」





返事なんて待たずにたくさん送ろう。


だって嬉しいんだもの。



好きな人とLINEYができるなんて。


ううん。できなくても持ってるってだけで違うの。



いざというとき、連絡を取れる手段があることが嬉しいの。





「俺、夏休みも優愛さんに会いたいです!!」





しばらく会えないなんてぇぇ〜と泣きついてくれる亮くん。


嬉しいな、こんな風に思ってくれる人がいてくれて。





「そうだ!
みんなもLINEY交換しようよ!」

「したいっす!!」





今日だけで7人もLINEYの友達が増えた。


それでも、金田と他の6人が違うのは…


金田だけをお気に入り登録したこと。


トークが常に上にあるってだけで、他の人から見たら大して変わらないんだけどあたしの中では大きいの。



LINEYを開いた瞬間に金田を見つけられるんだもん。


交換したんだって、メッセージ送りあえるんだ、夢じゃなかったんだって毎回思える。


それだけで眺めていられる。





「遊びましょうね!?」

「うん、遊ぼう!」





とっこともいっぱい遊びたいし、みんなとも遊びたい。



この夏休みは充実したものになりそうだ。



さっきまで夏休みが嫌だ、なんて思ってたのに…



あたしも現金なやつだな…ってしみじみ思う。



…でも、そんなもんだよね。きっと。

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