【完】溺れるほどに愛してあげる





「なんて…送ろう」





終業式だけの今日は午前で帰宅。


部屋で1人携帯とにらめっこする。


目に映るのは


Chikage.K


の文字。


金田とLINEYを交換して、いっぱいメッセージ送るね!とは言ったものの実際になると何を送っていいのかわからなくなる。


断念して画面が暗くなった携帯を持ちながらボスンっとベッドに身を投げる。


天井を見上げながら、はぁ…とため息をついた時。


ヴヴヴっと短く携帯が手の中で震える。


慌てて開くと金田からメッセージが届いたようだった。



あたし、まだ何も送ってないのに…


『暇?』


ただその2文字で嬉しい。


すぐ返せるかはわからないとか言ってたのに…


あたしが何送ろうかなんて考えてたのが馬鹿らしくなるほど金田は喋ってるのと同じように、本当に喋っているかのような感覚をあたしに与えてくれる。


『暇!』


あたしもたった2文字。

緊張でなかなか打ち込めなかったけど…





『おいでよ』

『どこに?』

『さあ、どこでしょう』





その文言と共に送られてくる1枚の写真。


端っこにちょっとした遊具が見える。

土の地面。

だだっ広い公園。



そう、それはナス男──藤堂を投げたあの場所。


みんなが優愛さんと呼んでくれるようになったあの場所。


金田が…名前を尋ねてくれた、あの場所。


──通称、タイマン公園。



金田との距離が格段に近付けたと…そう思うきっかけの場所。


あたしにとっては思い出の場所だ。

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