【完】溺れるほどに愛してあげる
気持ちと言葉
「ねぇ、とっこ。
文化祭どうするか知ってる?」
あたしが情報通のとっこに聞いたのは2学期始まって少ししたらある文化祭の内容を全く決めていないから。
準備って絶対夏休みに必要だと思うんだけど…
1学期は金田のことで頭がいっぱいで文化祭のことなんてすっかり忘れていた。
「そうだね〜…
知らない!」
きっと、とっこが知らないんだから何も動きがないんだろう。
委員長…どうするんだろうか。
…早く決めないと、2学期始まってバタバタすることになるよ?それは避けたい…
「委員長にメッセージ送る?」
「そうしようか」
気付いた人が動かないと、何にもできない。
「さあ…いつ既読されるでしょうか」
「委員長…お願いだから早めに読んで」
それから他愛もない話で盛り上がる。
だって学校終わって2週間ぶりに会ったんだ。
バカ話から真剣な話までたくさん。
…そして、あたしが今最も話さなければならないこと。
「とっこにご報告があります」
「はいはい、何かね?」
オッホン、とどこかの教授みたいな口調で答えるとっこ。
「金田と夏祭り一緒に行きました!」
おぉ!と歓声を上げるとっこ。
「良かったね!
付き合っちゃうのも時間の問題か〜?」
ニヤニヤと、そして嬉しそうに笑うとっこにあたしも満面の笑みを浮かべる。
「それでね…」
いざ言うってなると恥ずかしいもんだな。
少しだけ躊躇って、それでもとっこには言っておきたいから。
「お付き合い、することになったの」
「えぇ?!!」
「告白、されて…」
「わああああ!!!」
周りもこっちを見るほど、迷惑なくらい大声を出して盛大な拍手をくれる。
「そうだよね!もう良かった〜」
うんうん、こうなるのはわかってた!と腕を組んで頷いている。
「それなら余計、文化祭が大事じゃん!」
「え?」
「一緒に回ったりしないの?」
そういえば…そうだ。
一緒に回りたい。
いろんな教室や、出店を見たい。
だけど…
「来ないよ、金田は」
「優愛がいても?」
「それは…」
そんなに言われると、一緒に回りたくて仕方なくなるじゃん。
あたしが一緒に行きたいって言ったら…来てくれるのかな?
でも行かないだろうな。
…誘ってみるだけ誘ってみよう。
玉砕覚悟で。