【完】溺れるほどに愛してあげる


「え、厨房だけ?!」

「そうだけど」

「金田が接客してくれたら盛り上がるのに!」





わいわいと騒がしい声がさらに大きくなる。





「金田くんの衣装見てみたかった…」

「絶対格好いいのに…」





ところどころで女子がそんな風に呟く。


この言葉は金田に聞こえているのだろうか。





「俺のせいでこういうの来たら困るでしょ」





こういうの、と自分の頭を指す。


みんなその理由に納得したのか、さっきまでの騒ぎが嘘みたいに静かになった。





「じゃ、じゃあ金田くんには厨房をお願いするとして…」





委員長の言葉に意義を示すものはいない。


みんな各々に厨房だの接客だのやりたい仕事を言っていく。


驚くほどスムーズに役割は決まった。


あたしは希望通りとっこと一緒に接客をやることになった。


めちゃくちゃ可愛い衣装見つけてやる!!


少しでも金田に可愛いって言ってもらいたいから。


そうじゃないと、どんどん離れていっちゃうような気がしてたまらなくなる。


だけど今は、今だけは、金田の彼女として傍にいたい。一番近くで彼を見ていたい。



…そう思うんだ。

< 85 / 154 >

この作品をシェア

pagetop