【完】溺れるほどに愛してあげる
「え、厨房だけ?!」
「そうだけど」
「金田が接客してくれたら盛り上がるのに!」
わいわいと騒がしい声がさらに大きくなる。
「金田くんの衣装見てみたかった…」
「絶対格好いいのに…」
ところどころで女子がそんな風に呟く。
この言葉は金田に聞こえているのだろうか。
「俺のせいでこういうの来たら困るでしょ」
こういうの、と自分の頭を指す。
みんなその理由に納得したのか、さっきまでの騒ぎが嘘みたいに静かになった。
「じゃ、じゃあ金田くんには厨房をお願いするとして…」
委員長の言葉に意義を示すものはいない。
みんな各々に厨房だの接客だのやりたい仕事を言っていく。
驚くほどスムーズに役割は決まった。
あたしは希望通りとっこと一緒に接客をやることになった。
めちゃくちゃ可愛い衣装見つけてやる!!
少しでも金田に可愛いって言ってもらいたいから。
そうじゃないと、どんどん離れていっちゃうような気がしてたまらなくなる。
だけど今は、今だけは、金田の彼女として傍にいたい。一番近くで彼を見ていたい。
…そう思うんだ。