【完】溺れるほどに愛してあげる
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あれから2週間はあっという間に過ぎていき、気付けば2学期の始業式。
みんなで集まっていろいろ考えた5日間は本当に楽しかったな…
金田もみんなの中に混ざって楽しそうにしてた。
『あ、あの金田くん…
これ、持ってもらってもいいかなあ?』
『え?あーうん、わかった。どこに持ってけばいい?』
『源田くんがいる辺りに…』
『了解』
『あ、ありがとう…っ!』
金田と過ごす日々が多くなるにつれて、みんな…特に女の子の目線が変わったように感じる。
初め、金田に話しかける怯えた子羊みたいな目はすぐにハートマークが見えるようになった。
だって、格好良い上に優しいんだもん。
そりゃあ…誰だって好きになっちゃうよ。
こんなに目ざとく金田の周りにいる女の子を観察してしまうほどに、あたしの心の中はじわじわと黒いものに犯されていくような気がした。
そして、2学期が始まってからもちょこちょこと準備を進める。
看板とかメニューとか、いろいろ作らなくちゃいけないものはたくさんあるからね!
学校が始まると少しだけ安堵する。
「金田くん来てくれないかなあ?」
「どうだろ〜」
必要以上に金田と女の子が一緒にいるのを見なくて済むから。
1学期とは180℃も変わってしまった。
いや、変わるきっかけを与えたのはあたしだ。
自分でやったことなのに、後悔している。
嬉しくて、でも後悔。
…複雑だ。