【完】溺れるほどに愛してあげる
「明日は体育祭について決めるからなー!
絶対休むなよ」
担任が帰りにそう声を張る。
体育祭は1週間後。
種目を決めたり、練習もしなきゃいけない。
とても大事な時期なんだ。
5月という何とも爽やかな天候の中でみんなが走り、跳び、一致団結して応援に徹する。
クラスが1つになる時。
だからこそ、全員揃って笑顔で迎えたい。
少なくともあたしはそう思う。
それに足りないのは、あたしの隣。学校に来ているはずなのに教室には来ない金田 千景。
別に気にしなくてもいい。
どうでもいい。
そう言ってしまえば簡単。というかみんなそう思っているだろう。
触らぬ神に祟りなし。
できれば近付きたくない、そう思ってると思う。
だけどね、考えてほしいの。
クラス1人が欠けてることに。
そして彼は教室に来ないだけで学校にはいるってことに。
それはおかしいことだって、考え直してほしい。
彼をいない人みたいに考えるのはおかしいことだよ。
当人はそうしてくれって言ってたけど…
あたしはちゃんと全員で、体育祭をしたい。