【完】溺れるほどに愛してあげる
恋仲
*
ひらひらと風を受ける2枚の紙。
文化祭が終わって1週間経った。
明後日は日曜日。
この紙に書かれてる期限も明後日まで。
「…誘っちゃう?」
そう。
あたしの手に握られているのは遊園地のチケット。
ずっと悩んで、教室でも言えなくて…
だけど一緒に行きたい、と思う。
金田と一緒に行けたら絶対に楽しいって思う。
あたしは机の上に無造作に置かれた携帯をとって、LINEYを開ける。
そして…
『日曜日、空いてる?』
…送ってしまった。
もう逃げられない。
やっぱなし、なんてできない。
うぅ〜…と唸っていると、同時に携帯も唸る。
『空いてるけど、どうした?』
あああ、空いてるんだね…
嬉しいのに嬉しくないような…複雑な気持ち。
…ううん、ここは勇気を出せ優愛!
夏祭りも一緒に行ったし遊園地だって同じはず!
…どうも文化祭のあの日から金田と2人でいるのがしんどくなっていた。
主に心臓が。
バクバクと脈打って、酸素が上手く回ってきていないみたいに頭がクラクラする。
──優愛しかいらない。
そう、言われた時はとても嬉しかった。
だけど…今思い出したら死んじゃうくらい恥ずかしい…
嬉しいんだよ?
だけど…慣れなくて。
こんなに想ってくれてることに慣れなくて。
『どうしたの?』
あたしが返事を躊躇していたことに気付いたのかまたもメッセージをくれる。
…あたしだって金田のこと大好きだもん。
隣にいたいって思う。
だから…
『遊園地、一緒に行けないかな〜って』
今度はあたしが、ちゃんと伝えたいんだ。