小悪魔な彼

「こんなに夢中になったの…初めてだよ。」


「…へっ??」


「なーんでもない♪マジ,気を付けろよ?」


杉山くんは駅まで私を送り着けると,背を向けて歩きだした。


「杉山くんっ…!」


家路へと向けていた足を止め,
私を見た。


「ほんとに…ありがとう…!!」

最初は少しビックリした顔をしたけれど,
すぐにいつもの悪戯な笑みに戻り

「お安い御用だよ!」


と手をヒラヒラと振りながら歩きだした。


ありがとな,杉山くん。


そして私は,
コールが鳴り止んだ携帯に
再び耳を付けた。


決着を,つけるために……




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