小悪魔な彼

そしてゆっくりと、でも確実に、小森くんはゆかりちゃんに近づいて行く。


「あんたは、俺を利用してる。そんなの最初からわかってたよ。

上手く騙してるつもりでいた?
笑わせんな。」


低く響き渡る声に、思わず身震いした。
ゆかりちゃんはさっきと同じように何も言えず、眉を寄せている。

「でも……最終的に騙されちゃったのはあんただよね。」


「……えっ…?」


「俺が少しでも気を持ってるフリしたらまんまと引っ掛かんだもん。

ほんとは淋しくてか弱い乙女なんでしょ?
もったいないよ、せっかく美人なのに。」


「な…!さ…最低…


「なのは、あんただろ?
俺、もう恨んでないから。
あんたも、俺の親を追い詰めたアイツらも…」




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