君色。僕色。桜色。
12

僕はキミを待っていた。


今日、いつもの桜の下で待ってるから。僕に少しだけ時間を頂戴。


キミは昨日告白した。

キミ…眞大は、あの子からの返事待ち

きっと

二人は明日にはさくらんぼのように

二人で並んで帰るよね。


だから今日だけは…君の時間を頂戴。


「ねぇ…。」

いつも通りの帰り道。

今だけ、僕にどうか勇気をください。

「ん?」

「あのね…好きな人がいるんだ。」

「え?誰?応援するよ!」


キミは少し残酷で。

僕が好きなのは…キミなのに。

「僕の好きな人は、…眞大だよ。」

さぁ…。

二人の間を風が吹く。

葉桜になってきた桜の木が二人を見守ってる。


「…本当に?」

「本当だよ。僕を…早く振って?」

「ごめん。俺…好きな奴いる…って、知ってるよな。…今までごめん。」

「自分の気持ちに素直になれなかった自分が悪い。…最後に名前だけ…呼んでくれないかな…?」

「そんなこと…。性格悪いけど、これからも友達でいてくれないか?今すぐとは言わないから…」

「友達でいていいの?」

「あたりまえだろ!」


「…ありがとう。」

そのまま、無言で歩く二人。

キミが僕を家まで送ってくれて、

バイバイ

って言おうとしたら、

キミは

「瑞樹!」

名前を呼んでくれた。

「なぁに?」

「また明日な!」

そう言って見せてくれた笑顔は少しぎこちないけど。

「うん!また明日!」

明日からは

二人の新しい物語が始まるから。





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