ひょっとして…から始まる恋は
年頃的にそんな風に見えたのかもしれない。


「違うの。教授は叔父さんで、私は姪にあたるの」


教授は父方の兄弟の長男で、私の父は四人兄弟の末っ子になる。叔父と父は八つも年が離れていて、叔父は既に還暦を過ぎている。


「なんだ、そうなのか」


理解出来たように声を漏らす彼と私を、先輩秘書の二人が見比べるような感じで見守っていた。


「何?二人とも初対面じゃないの?」


先に問いかけてきたのは三波さん。
藤田君の腕を取っていた松下さんは、まだキョトンとした表情でいる。


「はい、実は高校時代の同級生で」

「しかも、三年間同じクラスだったんです」


藤田君が間髪入れず喋った言葉に振り返った。
ニコッと笑う彼のことを見つめ、きゅん…と胸が鳴ってしまった。


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