ひょっとして…から始まる恋は
「そうなのかなぁ」


松下さんは窺うように私を睨む。
ギョッとする視線に目を逸らすこともできず、そうですよ、きっと…と恐る恐る返事をした。


「ほら柚季ちゃんもああ言ってるし仕様がないじゃない。美穂も年下ばかり追いかけてないで、もっと周りにいる人に目を向けてみれば?」


チャンスは医局内には幾らでも転がっていると言いたげだ。松下さんは半ば諦めたように、そうね…と呟き、それでもまた繰り返して、あーあ…と声を漏らしていた。


その声に耳を傾けつつ、私は昨日のことを思い出した。

披露宴の二次会をすっぽかして現れた久保板君と二人で、初めてと言っても過言ではない会話をしたのだ__。



彼は私のことを高一の時からずっと見ていたと語り、その頃から既に視線の先には靖がいたよね…と囁いた。


「最初はいつもこっちを見てるから俺のことを見てんのかなぁとか思ってたんだけど、じっくり眺めてたら靖の方だと分かってさ。

だけど、あいつちっともそんなの気にしてないみたいだし、保科さんもそのうち諦めるだろうと思ってたんだ」


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