ひょっとして…から始まる恋は
ところが、高三で同じクラスになっても私は相変わらず藤田君を見ている。

彼はそれが悔しかったらしくて、でも、それだけ思うなら少しは気付いてやれよ…って気持ちが働いたそうだ。


「一途だな…と思って。靖が君と上手くいけばいいのにな…って少し思った」


それで事ある毎に藤田君に私のことを話したのだと明かした。

図書室で下級生を注意してるのを見つけたのも彼が先で、あのお人好しの保科さんでも怒ることがあるんだなと笑ったのだとか。


「その時の靖の反応はツレなくて、保科さんは真面目だからなって一言返してきただけだった。

俺、そういう奴の中途半端な態度が嫌で、他に何かリアクション無いのかよ…と怒ったんだけど、逆にどうしてそんなにムキになるんだ?と聞かれてしまって改めてそうだよな…と考えた」


それがキッカケで自分の気持ちを知った。
藤田君にはそれがすぐにバレてしまい、告白してみれば?と勧められたそうだけれど、玉砕するのは分かりきってることだったからそんなことしない…と断った。


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