ひょっとして…から始まる恋は
「あいつから営業の一課にいるよと聞かされて驚いた。
縁があるなと思って、四月に会うのを楽しみにしてたんだ」


でも、本社に来てみたら私は三月末で退職をしたと聞かされ、ショックで寝込みそうだった…と笑う。
私は謝るのも変だと思ったけれど、ごめんなさい…と再び頭を下げた。


「仕様がないよ。残業多かったって聞いたし、雑用も引き受けてたから大変だったんだろうって皆言ってた」


保科さんは人がいいからな…と言われ、シュン…と肩を落とす。


「でも、つくづく縁が無いなと悔やんだ。そしたら靖から連絡が入ったろ。奇跡か!?って思うくらい嬉しくて、絶対に披露宴に君を誘えと訴えたんだ」


私にとっては辛かったよね…と気遣われ、うん…とも言えずに俯く。
久保田君はそんな私を見て小さな溜息を吐き、だけどね…と声を明るくして続けた。


「やっと俺にチャンスが巡ってきたと思ったら嬉しくて。絶対に君と話す時間を作ろうと思った」


だから今は夢みたいだと語っていた。
私達はその後なんと一時間以上も話をして、お互いの連絡先を交換して別れた。


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