ひょっとして…から始まる恋は
『だってユズもいつも久保田を見てたじゃん』


思わぬ言葉に目が点になり、どういうこと!?と頭の中で思ったが。


(そうか、天音は勘違いをしてるんだ)


私が見てたのは藤田君だったのに、いつも側にいた久保田君を見ていたと思っているのだ。


(ここで私が違うと言ったらややこしくなるのかな。藤田君のことはもう綺麗さっぱり吹っ切れたし、今更彼が好きでいたと話すこともないだろうし)


けれど、好きでもない久保田君を見ていたと思われたままでいるのは困る。
どうしたらいいのかと頭の中でぐるぐると考え、兎に角ここは天音の質問に対する答えをしておこうと決めた。



『私は久保田君とは付き合わないよ』


『見てた』に対する反応はしないでおいた。高校時代のことなのだから、少しくらいの勘違いは仕方ない。


『どうして!?久保田なら有望株だよ!?』


秘書室での会話に似てきたな…と思いながら、そうだ!と一つ思い浮かんだ。



『職場の先輩が彼のことを気に入ってて』

『付き合ったりしたら睨まれそうだから』


松下さんごめんなさい、と心で謝りながら文字を打つ。


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