ひょっとして…から始まる恋は
私達は久保田君が知り合いから聞いたというお店にいた。

店内はお洒落で大人な雰囲気に設えてあり、料理はイタリアンで価格はリーズナブル。
どれも美味しそうな写真がメニューには載っていて、どれにしようかと迷うくらいだ。


「パエリア食べない?」


写真を指差す爪先を見つめ、いいよ、と返事。
久保田君の爪は藤田君のように手入れもされておらず、関節も太くてゴツゴツとした感じだ。
肌の色も外回りのせいか浅黒くて、男性っぽい手だな…と眺めてしまった。


「パスタも美味しそう」


久保田君はお腹が空いているみたいで、写真を見つめながら真剣に悩んでいる。
それを見ていると何だかウキウキとしてきて、彼が食べたい物でいいよ、と言った。


「じゃあデザートは保科さんに任せる」


そう言うと彼はパエリア以外の料理を選び、私は迷いながらも季節限定だと載っていた抹茶味のティラミスを選んだ。


料理が運ばれてくるまでの間、私達はラインで交わしている内容について語った。

久保田君は新たに自分が発案で出掛けているプランがあるんだと教えてくれて、思わず目を見張る。


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