ひょっとして…から始まる恋は
「そんなに合わせようとしなくてもいいから」


彼も人がいいなと思って言った。
だけど久保田君は首を横に振り__


「そうしてでも会いたいからいいんだ。別に残業するのも苦じゃないし」


仕事は好きだと話す久保田君は勇ましく見えて、自分が長い間見つめてきた藤田君とは別の人種だな、と実感した。


「それに頑張った後で会えると嬉しさも倍増しするしさ」


そんな言葉を平然と言ってくる彼に気後れしそう。
思わずこっちまで照れくさくなり、目線を合わせれなくなってしまった。



「保科さん」


久保田君に名前を呼ばれてドキンと心臓が脈打つ。
目線を上げると彼のソフトブラックな瞳がこっちを見ていて、その吸い込まれそうな目ヂカラに言葉も出せずに口ごもった。


「これからもラインで話していい?できればまた二人だけで会いたいんだけど」


それがどういう意味か分かる?と聞かれ、胸の音が速くなる。



「うん…分かるよ」


自分と付き合いたいと言っているのだというのは分かる。
私も前ほど久保田君に対して感情は離れていないと感じている。


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