ひょっとして…から始まる恋は
店外に出ると、久保田君は駐車場に停めてある車に向かって走る。
どうやら知り合いの車が止まっていたらしく、運転席に座っている人に深々と頭を下げていた。
(誰なんだろう)
何処かで見覚えのある顔だと見つめていると話し終えた彼が戻ってくる。
お待たせ、と言うからあの人は?と訊ねると、思いがけない答えが戻った。
「あれは靖の兄さんだよ」
隣の助手席にいるのが彼女と視界を開け、私は思わず見入ってしまう。
「もしかして藤田君が言っていた中学時代の同級生って人?」
車内からなかなか出てこない二人を見て、久保田君は歩きだした。
「そう。川島波南さんて言うんだ」
彼女のこともきっと藤田君から聞いているのだろう。
名前を教えてくれて、実はこの店を教えてくれたのは藤田君のお兄さんだと言いだした。
「好きな子を連れて行くのに適した店はないですか、と質問したら此処がいいだろう…と言われてね」
それで今はお礼を言いに行ったそうだ。
私は自分にも二人を紹介して欲しかった…と思ったけれど、久保田君はそれをせずに黙って駅に向いて歩く。
どうやら知り合いの車が止まっていたらしく、運転席に座っている人に深々と頭を下げていた。
(誰なんだろう)
何処かで見覚えのある顔だと見つめていると話し終えた彼が戻ってくる。
お待たせ、と言うからあの人は?と訊ねると、思いがけない答えが戻った。
「あれは靖の兄さんだよ」
隣の助手席にいるのが彼女と視界を開け、私は思わず見入ってしまう。
「もしかして藤田君が言っていた中学時代の同級生って人?」
車内からなかなか出てこない二人を見て、久保田君は歩きだした。
「そう。川島波南さんて言うんだ」
彼女のこともきっと藤田君から聞いているのだろう。
名前を教えてくれて、実はこの店を教えてくれたのは藤田君のお兄さんだと言いだした。
「好きな子を連れて行くのに適した店はないですか、と質問したら此処がいいだろう…と言われてね」
それで今はお礼を言いに行ったそうだ。
私は自分にも二人を紹介して欲しかった…と思ったけれど、久保田君はそれをせずに黙って駅に向いて歩く。