ひょっとして…から始まる恋は
「でも、断ったの。相手は医師だと言われたけれど、別に会いたくもない人だったし」


それに頭の中で久保田君のことを気にしている自分がいて、彼と親しくしているのに他の人との縁談を受けるのもおかしいなという気分になった。


「じゃあ俺は?」


何故か自分を指差す久保田君に首を傾げる。


「俺は会いたくもない人じゃないってこと?」


「え、勿論そうよ」


驚いて答えると目が更に大きくなる。


「久保田君のことは心配だから会いたかった。仕事も大変そうだし体壊してないかなと思って気になってた」


私以上に人が良くて、ライン上でも気遣ってばかりいる。
そんな彼がストレスを抱え込んでいないかが気になり、会って確かめたいなとは思っていた。


「……どうしたの?」


顔を見ると目頭が赤くなっていて、少し潤んでいるようにも見えた。


「いや、なんか凄い感動して」


背中を向けると手の甲で目を擦っているみたい。
久保田君…と声をかけると彼は前を向いたままでこう返してきた。


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