ひょっとして…から始まる恋は
「俺にとって保科さんはいつも想像でしか触れ合えてなかったから。こんな目の前で心配だと言ってくれて、会いたかったと言って貰えるとは思わなくて」


私の何気ない言葉が嬉しかったみたい。
純粋な彼に胸が鳴り、照れ隠しに大袈裟ね…と囁いた。


「ごめん、ちょっといい」


振り返った彼が私のことをふわっと抱く。
驚いたまま声を失った私だけれど、久保田君に包まれているのは不快でも何でもなくて。



「好きだ」


そう言われると胸の奥から心音が鳴り響いてきて、それがどんどん速くなるのを感じた。


「久保田君…」


言葉少なく彼を呼ぶと、ぎゅっと抱く腕に力がこもる。
それには流石にオタオタして、全く人通りのない道じゃないから恥ずかしくなってきた。


「あ…あの、」


早く解放して欲しいと思うけれど、感極まっている彼がもう少しだけ…と願い、暫く抱き包まれてしまった……。


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